円形脱毛症は精神的ストレスで起きるのではないの?
- 円形脱毛症は精神的ストレスがなくても発症します
- 精神的ストレスよりアレルギー体質をお持ちの方が発症のリスクは高いです
- アレルギー対策をすることが円形脱毛症の改善につながります
こんにちは!
毛髪診断士のまごたです。
今回は、円形脱毛症の原因の一つであるアレルギー症状とその対策について徹底解説していきます!
円形脱毛症と精神的ストレスは関係ない?
そもそも円形脱毛症とは、根本的な原因は未解明ですが、頭皮を外敵から守る免疫機能のリンパ球(T細胞)が、アレルギー体質を含む複数の要因から、
異常行動を起こすスイッチが入り、毛根を異物と間違えて攻撃してしまうために発症する「自己免疫疾患」の一つと考えられています。
本当に精神的ストレスを解消すれば治るのか?
世間一般では、円形脱毛症は精神的ストレスが一番の原因と考えられがちですが、実際の研究報告としては、精神的ストレスがなくても発症することから、直接的な関係性は弱いと考えられています。
AA (円形脱毛症)発症に精神的ストレスが関与するかについて以前より議論がある.一般診療において,AA 患者自身の脱毛症状が精神的ストレスで起きたのではないかと相談を受ける場面も多い。強い精神的ストレス後に脱毛症状を生じた症例を経験する機会がある一方で,全くその関与を自覚しない患者もかなり多い。
AA 患者 31 名の精神科的面接調査で,74%の患者が 一生の中で一度以上は何らかの精神疾患の診断を受け ているが,抑うつ状態と脱毛の病型には関連性を認め なかった。臨 床的観察から精神的ストレスの関与が明らかな症例群 の抽出が困難であり,今もって AA (円形脱毛症)発症と精神的ストレスとの直接の関連性についての科学的根拠は乏しい。
もちろん、間接的な要因の一つとしてのストレス(ストレスによる体調不良やヘアサイクルの乱れ)はありますが、ストレスだけで円形脱毛症が発症する訳ではありません。
逆に言えば、精神的ストレスだけを解消したからといって円形脱毛症が簡単に治る訳でもありません。重度の症状の場合はより顕著です。
誤解ないように言うと、精神的ストレスの解消は、頭皮環境の改善としてはとても大事ですので、全く意味がないという訳ではありません。
円形脱毛症にはなりやすい体質が前提にある
要するに、円形脱毛症は、遺伝的要因やアレルギー体質といった円形脱毛症になりやすい土壌が前提にあって、そこにアトピーや花粉症などの過剰なアレルギー反応や、睡眠不足や腸内環境などの体調不良、
頭皮を引っ掻いたり抜いたりして起こる頭皮の炎症、その他栄養不良や頭皮環境の悪化など、複数の要因が重なって、免疫異常のスイッチが入ってしまい、突然急激に脱毛が起きてしまうのです。
ちなみに円形脱毛症は年齢や性別に関係なく、10歳未満の方もいれば、60歳以上の方もいます。
円形脱毛症とアレルギーの関係性
円形脱毛症とアトピー素因の合併率
AA (円形脱毛症)患者 47 例中 29 例がアトピー性疾患(気管支喘息,アトピー性皮膚炎,軽度のアレルギー性鼻炎)の いずれかを合併し、AA 患者 800 例中 187 例(23%) がアトピー性皮膚炎を合併していたとの報告がある。
本邦でも患者 200 例のうち,患者本人や家族に アトピー素因があるものが 108 例(54%),患者本人に アトピー素因があるものが 82 例(41%),アトピー性 皮膚炎の合併は 46 例(23%)にみられた
遺伝的要因において、患者との関係 (親等)が近いほど発症率が高く、欧米の調査でも 1 親等内での AA 発症は一般に比べて 10 倍である。また、一卵性双生児での AA 一致率は 55%と高率である。またアトピー性疾患との合併率も高く、フィラ グリン遺伝子異常を持つアトピー性皮膚炎患者では重篤な AA を合併する傾向がある。
具体的な関わりは要検討とのことですが、いくつかの研究報告によると、患者本人にアトピー素因をもつ割合が40%、血縁者を含めると50%以上関与しており、
その合併率の高さや、臨床像、重症度、経過等に違いがみられることから、遺伝的なアレルギー体質と円形脱毛症との関係性が強いと考えられています。
実際に私が相談を受けている方々の話を聞いてもこの傾向は強いです
補足:アトピー素因とは?
- アレルギー性皮膚炎(アトピー)
- アレルギー性鼻炎(花粉症やその他埃など)
- 気管支ぜんそく
- 結膜炎など
アトピー素因とは、本人または血縁者が、アレルギー性の病気(アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、喘息・結膜炎など)を持っている、
簡単にいうと、たとえ本人が発症していなくても「アレルギーを起こしやすい遺伝的体質を持っていること」を言います。
円形脱毛症とアレルギー体質による重症化
アトピー 素因と分類・重症化の検討では,小児群では 34.6%に 合併し,病型ごとの合併率は単発型(4/30:13%),多発型(25/76:33%),全頭型(11/25:44%),汎発型 (12/24:50%),蛇行型(ophiasis)では(4/7:57%) であった
本人ないし 1 親等家族にアトピー性疾患 を有し,本人の IgE 高値の症例を atopic type と定義 し検討したところ,患者 209 名の 34%が atopic type で,重症例の 41%,軽症例の 26%を占めた。
100 症 例の検討でも,アトピー素因合併群22例中15例(70%) で脱毛が重症化したが,非合併群 78 例中での重症化は 42 例(52%)であった.
1946 年から 2014 年までの 論文検索による Mohanらによるメタ解析でも,全頭 型,汎発型 AA は多発型と比較して有意にアトピー性皮膚炎との合併率が高いと報告している.
いずれの報告も,重症群ほどアトピー素因の合併率が高く,アトピー素因を持つ患者には注意を要することを示して いる.
例えば、重度の円形脱毛症では、複数箇所抜けてしまう多発型や、全体の髪の毛が抜けてしまう全頭型、全身の毛が抜けてしまう汎発型がありますが、
それら重度の症状を7年近く経験した筆者の場合、まず父親が全頭型の円形脱毛症の経験者であるということ、父方の妹(血縁者)がアトピー性疾患をお持ちということから、遺伝的なアレルギー体質は間違いなく持っています。
もちろん、アレルギー体質でなくても発症しますし、重症化することもありますので、あくまでも発症リスクや重症化リスクの違いになってきます。
つまり、アレルギーを起こしやすい遺伝的体質をもっていると、円形脱毛症が発症しやすく、重症化もしやすく、なおかつ再発もしやすいのです。
今すぐできる4つのアレルギー対策
- アレルギー検査で自分の体質を把握する
- 花粉のピーク時期に入る前に薬を飲む
- 清潔で乾燥していない環境を整える
- 腸内環境を整えて免疫力をあげる
とはいえ、アレルギー体質をもっているからといって、予防的な対策ができない訳ではありません。
むしろ、円形脱毛症が中々治らない・再発してしまうという方は、アレルギー対策をしっかりと続けることで、状況が好転に向かうことも珍しくありません。
私自身、7年近く重度の円形脱毛症でしたが、そこから上向きを維持できたのは、アレルギー対策を毎日コツコツ続けるようになったのが一つの要因だと感じています。
①アレルギー検査で把握する
アレルギーの対策をするためには、まずは自分がどんなアレルギーを持っているかを検査をして、しっかり把握するのがとても大切です。
アレルギー検査は項目数によって種類がありますが、中でも花粉やダニ等の吸入系のアレルゲン検査が、多くの方に当てはまると思います。
また、過去に検査を行ってる人でもアレルギー体質は変わっていくので、一度検査をしてみるのをおすすめします。
明確な自覚症状がなくても、検査で自分がどの程度かレベルで知ることができるので、一度病院で検査してみるのがおすすめです
便利なアレルギー検査簡易キット
郵送キットも便利ですが、病院の検査は保険適用できるので、時間がある方は病院での検査の方がおすすめです。
分厚い本だけどアレルギーの知識を網羅したければこちら…
アレルギーの種類も接触型など様々あるので、詳しく知りたいという方はガイドラインがおすすめです。ちなみに私も持ってますが、専門書なのでだいぶ分厚いです(笑)
②花粉のピークになる前に薬で対策する
季節性のアレルギーの花粉症は、時期によっても場所によっても大きく変わりますが、おおむね一年中、様々な植物の花粉が飛んでいます。
実際に検査で自分がどこに当てはまるのかを把握して、その季節のピークになる少し前には薬を飲んで予防をするのが大切です。
花粉やハウスダストに効果的な抗ヒスタミン薬
フェキソナジン(別名:アレグラ)は、円形脱毛症の初診で処方されることの多い薬の一つです。
抗ヒスタミン薬以外なら定番の漢方薬
アレグラもそうですが、出来ればピークの少し前の時期から予防的に飲むのがおすすめです
③清潔で乾燥していない環境を整える
部屋を清潔にして空気中のアレルゲンを少しでも少なくするのはもちろん、乾燥対策もとても大切です。
乾燥したままのカサカサの皮膚では、アレルゲンの経皮侵入を容易にして、一層アレルギー反応を促進してしまうので要注意です。
特にアレルギー検査で、ハウスダストやダニ、花粉、動物の毛などの数値が出た人は、日々の掃除や空気の入れ替え、加湿器や空気清浄機等で対策していきましょう。
意外と盲点なのがベットや枕の掃除で、月に数回、天気の良い日は布団の洗濯や天日干しを忘れずにしましょう
花粉もハウスダストも少ない環境を作ろう
加湿空気清浄機を買うならプラズマクラスターのような「花粉除去モード」がついてるのがおすすめです
ついでに加湿器の給水タンクに除菌水をいれて一石二鳥
ついでにコロナ対策もできればありがたい限りですね
④腸内環境を整えて免疫力をあげる
私たちの腸には、免疫細胞や抗体の6~7割が集中していると言われています。
実際に最新の研究で、免疫細胞の暴走によって引き起こされる自己免疫疾患の方は、“腸内細菌の種類のかたより”が生じている(クロストリジウム菌と呼ばれる腸内細菌が少ない)ことが明らかになってきています。
個人的に円形脱毛症の改善で凄く注目している研究なのですが、いわゆる円形脱毛症の原因となっているT細胞の異常な免疫反応を制御する細胞が腸内にあるそうです。(詳細はこちら)
要するに発酵食品と食物繊維のある食べ物は積極的に摂って、良い腸内細菌を増やして、免疫系の過剰反応を制御する細胞を増やしましょうということです。
まとめ
以上、円形脱毛症の原因の一つであるアレルギー症状とその対策についてご紹介しましたが、イメージは掴めたでしょうか?
世間一般で言うような「円形脱毛症を治すために精神的ストレスの解消」は、もちろん大事であることは変わりませんが、それ以上にアレルギー体質の改善や対策をすることの方が、円形脱毛症を直すためにはより大事になってきます。
以前の私のように「円形脱毛症が中々治らない・再発してしまう」という方は、是非アレルギー対策を日々こつこつと続けてみてください!
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ここまで読んで頂きありがとうございました!
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