円形脱毛症にステロイド治療は効果あるの?副作用が不安…..
そんな疑問に答えます!
- ステロイドには、脱毛症状を引き起こす免疫異常と毛根の炎症を抑える効果がある
- 円形脱毛症の診療ガイドラインにおいて、最も推奨されている治療方法である
- 副作用はあるので注意は必要だが、医者の判断や処方通りに使えば安全な薬である
こんにちは!まごたです。
今回は、円形脱毛症の治療方法で最も多く使われる「ステロイド」の効果や副作用について知りたいという方へ、よくある疑問を徹底解説していきます!
ステロイドの効果とは
そもそもステロイドの効果とは?
- 炎症を抑える作用
- 免疫反応を抑制する作用
そもそもステロイドとは、「副腎皮質ホルモン」と呼ばられる化学的に合成された薬で、もともと私たちの身体の副腎(ふくじん)という臓器で作られるホルモンの一つです。
その薬の主な効果は、体の中の炎症を抑える作用や、体の免疫機能を抑制したりする作用があり、炎症や免疫の異常反応(アレルギーなど)が診られる様々な疾患に使われています。
円形脱毛症においては、毛根を誤って攻撃してしまう免疫異常や、毛根の炎症を抑制して、脱毛症状を一時的に押さえ込む(正常化させる)効果が認められています。
ただし、ステロイドには治療方法によっては、副作用も多いため、使用には医者による判断が必要な薬です
ステロイドはコロナの治療薬にも?
実はそんなステロイドは、アトピーや喘息、膠原病など、円形脱毛症と関わりの深い病気の治療にも使われていますが、最近話題のコロナの治療薬にもなったり、安倍首相が患っている潰瘍性大腸炎などにも使われるほど、炎症や免疫に関わる幅広い症状に効果認められています。
コロナ治療薬としては、7/21にステロイド薬「デキサメタゾン」が国内2例目の正式なコロナ治療薬になり、厚生労働省の「COVID-19 診療の手引き 第2.2版」に追加されました。
円形脱毛症のステロイド治療とは
ステロイドにはどんな治療方法がある?
- 脱毛部分に塗るステロイド外用薬
- 脱毛部分に注射するステロイド局所注射
- 錠剤として飲むステロイド内服
- 入院して点滴するステロイドパルス
では、円形脱毛症のステロイド治療はどんな方法があるのかというと、主に外用薬・局所注射・内服・点滴という4つの治療方法があります。
日本皮膚科学会が無料公開している円形脱毛症診療ガイドラインには、様々な治療方法が書かれていますが、その中でステロイド治療は最も推奨されている標準治療になっており、先ずはステロイドで治療するのというのが一般的です。
余談になりますが、円形脱毛症には推奨度A(特効薬に近いもの)の治療方法は確立されていないのが現状で、その中でステロイドは最も効果がある治療方法(推奨度B)とされています。
重度の場合は必ずしもステロイドを使ったから脱毛症状が止まる訳ではないのが実情です。
どのステロイド治療をとるべきなの?
では、実際にどのステロイド治療をとるのかは、症状の度合いや進行具合、医者の判断によっても大きく変わってきます。
基本的に初期の軽度な段階では、副作用やリバウンドが少なく使いやすい「ステロイド外用薬」が処方され、経過を診る治療方法が取られる場合が多いです。
ただし原則として、幼児や妊婦さんには「ステロイド外用薬」以外は推奨されていませんので、そういった方は局所免疫療法(サドベ)という痒くなる薬から始める場合もあります。
ちなみに、ステロイド外用薬を幼児に使う場合は、強さを弱めて使います。(幼児は大人より皮膚が薄いため、弱いステロイドでも十分効果があるため)
また、局部に塗る外用薬や局部注射よりも、短期間の大量投与(点滴)や、経口ステロイド(内服)の方が強い効果も見込めますが、同時に全身への副作用も強いため、基本的に進行の早い重度の円形脱毛症以外では内服や点滴を使うことはあまりありません。
どの治療方法をとるかは、詳しくは担当の医者と相談してみて下さい
ステロイドの副作用とは
外用薬や内服など使用方法によって副作用は違う
よく誤解されがちなステロイドの副作用ですが、外用薬や注射などによる「局部的な副作用」と内服や点滴などによる「全身への副作用」は別物です。
- 長期間使うと皮膚が薄くなる
- ニキビが出来やすくなる
- 毛が濃くなる
- 注射の場合、皮膚の萎縮や陥没が起こる場合もある
局部的な副作用としては、外用薬の場合、長期間使うと皮膚が薄くなる、ニキビが出来やすくなる、毛が濃くなるといった場合があり、局部注射の場合は、それに加えて、皮膚の萎縮や陥没が起こる場合もあります。
ニキビ等ができた場合は、自己判断で使用を辞めるのではなく、先ずは医者の方に相談してから調整してもらいましょう
- ムーンフェイス(満月顔貌)
- 高血糖、高血圧
- 骨密度の低下
- 気分の落ち込み(精神症状)
- 免疫力低下による感染症
- 消化器官の低下(消化管潰瘍)など
全身的な副作用としては、顔が腫れてしまうムーンフェイスや高血糖、高血圧などがありますが、内服か点滴か、容量や期間、ステロイドの強さ、などによっても副作用の影響は大きく変わってきます。
基本的に点滴の場合は、脱毛症状が急激に進行している重度の場合にしか使いませんが、その副作用もあって、3日〜5日程入院して医者の慎重な判断が必要になります。
とはいえ、点滴や内服をする場合は、体重や血糖、骨密度などの検査を行い、これらの副作用をある程度予防できる治療薬も一緒に処方されることが多いので、過度に不安になる必要はありません。
基本的に長期間使用しなければ、副作用の大きな影響は出てこないということを忘れないようにしましょう。
容量や扱いを間違えなければ安全で、最も効果の見込める治療方法なので、過度に不安にならず医者の判断に従いましょう。
ステロイド外用薬の強さには5段階ある
そもそもステロイドと一口にいっても、その種類や強さは様々です。ガイドラインを見ると分かりますが、ステロイド外用薬で言えば、その種類は20種類以上あり、強さも5段階に分かれています。
円形脱毛症で使われるステロイド外用薬の強さは、最も強い(ストロンゲスト・I群)のデルモベートだったり、かなり強い(ベリーストロング・II群)のアンテベートやリンデロンなどを使うことが多いです。
基本的に弱いステロイドでは、短期間に急激に進行する円形脱毛症にあまり効果がないので、強いステロイドで炎症や脱毛症状を一気にしっかりと押さえ込んで、その後医者の判断で様子を診ながら少しずつ減らしていくという方法が取られています。
余談ですが、リンデロンはvg軟膏として虫刺されや湿疹などによく使われることでも有名な塗り薬です。意外と身近にステロイド外用薬は使われているのです。
ステロイドを使う際に知っておくこと
効果があっても辞めた後に再発する場合もある
実は、ステロイドには効果があっても、辞めた後に再発してしまうリバウンドという現象が起きる場合があります。
特に再発は、脱毛症状の範囲の広く進行が早い重度な円形脱毛症に起きる場合が多いですが、一度効果があって脱毛症状が止まったとしても、その数週間後、数ヶ月後に再び進行してしまうということも稀ではありません。
よく例え話として、ステロイド薬は火事(炎症)を消す強力な消火器と表現することがありますが、炎症や脱毛症状をたちどころに押さえ込んでも、病気そのもの、火事でいえば火種はまだ残ったままのこともあります。そのようなときに消火活動を急にやめれば火はまた燃えさかり(再発し)ます。
つまり、語弊がないように言うと、辞めたから脱毛症状が悪化するのではなく、あくまでも一時的に押さえ込んでいるだけに過ぎないので、効果が出た後の辞め時や切り替え時の判断が難しいという点があります。
副作用もあって長期間使用する治療方法ではないので、辞めどきは医者の判断が重要になってきます
自己判断で減量や中止はしない
これもよくある話ですが、過度に副作用が不安になって、自己判断で外用薬の塗る量や内服量を減量したり、中止をしたりというのはしないで下さい。
というのも、ステロイド治療というのは中途半端に減量してだらだらと長期間続けるものではなく、しっかりと強いステロイドで脱毛症状を押さえ込んでから、医者の判断で徐々に減らしていく治療方法です。
自己判断で使えば中途半端な効果しかなく、むしろ悪化したというように誤解も生んでしまいます。
何か異変があれば、先ずは医者に相談してから減量や中止をしてください。数ヶ月使って効果が無ければ、局所免疫療法(サドベ)に切り替えることも出来ます。
ステロイドは安全な薬である
間違った副作用やデマ情報に踊らされない
ガイドラインにある通り、現時点でステロイドは、円形脱毛症に最も効果的な治療方法とされていますが、実は一時期「悪魔の薬」とメディアで副作用の悪影響が誇張されて取り上げられたことがあって、間違った副作用やデマ情報が一人歩きしていたことがあります。
よくある誤解を生む情報には「ステロイド依存症」や「脱ステロイド(脱ステ)」「ステロイドは経皮毒」「ステロイド外用薬は色素沈着を起こす」といった様々な民間情報がありますが、それを裏付けるしっかりした根拠(エビデンス)はありません。
特に、依存症や経皮毒という表現はデマ情報ですし、色素沈着に関しては、単に皮膚の炎症や掻いたりすることによって起こる現象です。出来てしまった黒い色素沈着は炎症の赤みではっきりしませんが、ステロイドによって炎症の赤みが抑えられ目立ってしまうというだけです。
医者の判断に従えば、ステロイドは安全で最も効果的な治療方法なので、先ずはステロイド治療から始めてみて下さい。
もっと詳しく知りたい方へおすすめの本
余談になりますが、もっと詳しくステロイド治療について知りたいという方は、京都大学医学部/特別准教授・皮膚科専門医の大塚篤司さんが出版している本に分かりやすく解説されているので、ぜひ一度読んでみてください。
円形脱毛症と関わりの深いアトピーについての本にはなりますが、ステロイド治療について詳しく解説されているだけでなく、医療不信に対する医者目線の本音や、間違った治療方法の見分け方など、円形脱毛症の治療方法に悩む方にもとても役立つ情報が満載でした。
まとめ
以上、円形脱毛症のステロイド治療について不安という方へ、効果や副作用などを解説していきましたが、疑問は解消されましたでしょうか?
もちろん、円形脱毛症には特効薬のような確実に効果が見込める治療方法はありませんが、皮膚科学会のガイドラインでも、ステロイドは最も推奨されている治療方法ではあるので、先ずは医者の判断に従ってステロイド治療から始めてみて下さい^^!
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ここまで読んで頂きありがとうございました!
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